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「相続」って何?
Aさんの事例

「相続なんてお金を持っている人のこと。うちは財産がなくて借金があるぐらいだから。」

まず、「相続」って何なのでしょう?
「相続」=お金持ち=財産争い=「相続税を払うこと」。って思ってませんか?

実は相続が発生しても、相続税を納めている人は20人に1人。
わずか5%に過ぎません。

では、相続って何なのでしょう?
ある人が持っている財産の権利や義務は、その方が亡くなった瞬間に、妻や子など(相続人)に引き継がれます。この財産の引継ぎを「相続」と言います。
とても簡単に言ってしまうと、亡くなった方の持っていた1万円が遺された妻の物になる、これでも立派な相続です。

つまり「相続」は当然にすべての人に、その死亡時に発生するもの なのです。

相続財産とは?

一言で相続財産と言いますが、書籍によってニュアンスが違っています。相続財産と言った時に、「遺産分割の対象になる財産(本来の相続財産、債務・借金)」と、「相続税課税対象の財産(上記財産にみなし相続財産、生前贈与財産を加えたもの」がありますので、この2つを混同しないようにしてください。

それでは、ここでは遺産分割の対象になる財産をまず見ておきましょう。

 






金融資産
現金・預貯金・小切手
有価証券(株、債券、など)
土地・建物
土地・家屋
不動産上の権利(借地権、賃借権、抵当権、永小作権など)
事業用財産
(減価償却資産)機械器具、什器備品、果樹、営業権等
(棚卸資産)商品・製品、仕掛品、原材料、農産物等
(その他) 売掛金、受取手形、電話加入権等
その他
家具・什器
自動車
宝石、美術品、骨董品
特許権、実用新案権、著作権
貸付金
ゴルフ会員権(一部を除く)
負債、債務
借入金
住宅ローン、各種ローン
クレジットカード、事業等における未払い金
相続が始まる前に発生した保証人契約による保証債務
生命保険金は、亡くなった人が被保険者で、かつ保険料負担者であり、受取人が「被相続人自身」「相続人」とされているときは遺産分割対象になります。これに対し、受取人が「妻」というように具体的に特定されていれば、その人の財産となります。
上記以外に、本来の相続財産ではありませんが、相続税の課税対象になる財産に以下のようなものがあります。(実際の遺産分割協議時には下記の財産も勘案し、遺産分割を行っています。)
みなし相続財産
(本来の相続財産ではないが、相続税課税の対象になる財産)
生命保険金
退職手当金
生命保険契約に関する権利
定期金(年金等)に関する権利 等
贈与財産 相続時清算課税制度に係る贈与財産
相続開始前3年以内の贈与財産

大きく分けると上の表のようなものが相続財産になります。
・・・・・・財産って、借金も入ってるじゃないか!と思われた方。


ここがポイント!
そうです!
借金や各種の債務も「マイナスの財産」として、相続されるのです。


「借金があるから相続なんて関係ないよ!」ではなく、
借金があるから相続はあなたと家族に関係があるのです!

【このAさんの事例。このままだとどうなる?】
○月×日 Aさんが亡くなり、相続が始まる。
3ヶ月を過ぎたある日、Aさんにお金を貸したというBさんが現われ、借金の返済を迫ってきた。それからは、Aさんの家族は、Aさんが残した借金返済のために朝も夜もなく働く日々・・・・・。
◎借金なんて相続させたくない・・・・Aさんが生前できること
家族に迷惑がかからないように、あらかじめ家族に借金、債務の詳細を伝えておいてください。しかし現実には「なかなかそんな事言えない」という事もあります。そんな場合は遺言書を作り、、その債務の詳細、処理についても記入しておくのがよいでしょう。 
◎借金なんて相続したくない・・・・・・相続人ができること
「相続」では、亡くなった方のプラスの財産もマイナスの財産も、すべて無条件に引き継がなければいけないのでしょうか?それでは、相続が怖くて?夜も眠れません。

実際の相続では、亡くなった方(被相続人)の財産を相続するもしないも、相続人が自由に選択することが出来ます。

ただし相続する、しないは、相続が発生し自分が相続人であることを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に手続き(申述)を行わなければなりません。 何もせず3ヶ月を過ぎると、プラス、マイナスともに財産をすべて相続したとみなされます。

それでは、この相続をする、しないの意思表示についてもう少し詳しくみておきましょう。
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相続の承認・放棄
相続が発生したら、どんな財産があるかを調べ、財産の一覧表(財産目録)を作成します。このとき、必ずマイナスの財産も忘れず調べてください。ある程度生前に財産内容が表にでもまとめてあれば比較的スムーズに進みます。
    
そして財産内容を見たうえで、被相続人の財産を相続する、しないを相続が開始し自分が相続人であることを知った日から3ヶ月以内に決めてください。方法は3通りあります。
 
注意1. 一度方法を選択すると原則変更できません。
注意2. 3ヶ月以内であっても、財産の一部を使ったり、隠したりすると単純承認したものとみなされます。
注意3. 相続開始前の相続放棄は無効です。
 
相続放棄
限定承認
単純相続

全面的に相続を放棄(拒否)。
最初から相続人でなかった事になります。
相続で得るプラスの財産の限度で借金を払う方法。プラス財産が残れば相続できます。
※相続人全員が一致して行わなければならない。
すべての財産を無制限に相続



@マイナスの財産がプラスの財産より多く、債務が残る場合
A他の相続人の相続分を増やす目的
相続財産にマイナスの財産があり、プラスとマイナスどちらが多いか判らない時 プラス財産が多い時



相続開始を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する。 相続開始を知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に「限定承認申述書」を提出する。 特別な手続き不要
◎相続放棄の注意点
相続放棄した場合、相続権は他の相続人に移動します。
つまり、下手をすると「借金のたらい回し」になりかねません。
借金が多い場合の相続放棄は、相続権を持つ人全員で申請した方が良いでしょう。
(相続放棄の場合、最初から相続人でなかったことになるので代襲相続も認められなくなります。)
◎限定承認の注意点

相続人全員の総意で行わなければいけません。一人でも反対者がいればできません。

<参考>
相続人によって相続開始を知った時期が違う場合。
     
この場合、3ヶ月のスタート地点が異なることになります。
ですから、最後に相続開始を知った相続人の3ヶ月の期間が満了していない限り、共同相続人全員で限定承認することができるとされます。     【東京地裁 S30.5.6判決】

限定承認の手続きは非常に煩雑です。手続き上の不備で債権者に損害を与えたときは、賠償責任も生じます。このため、実際のところは限定承認が使われることは少なく、単純承認もしくは相続放棄のどちらかが選択されます。
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