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Dさんの事例
「財産たって内縁の妻と2人一緒に住んでいるこの持ち家ぐらいだよ。相続なんて大層な」
大層な!と思われるかも知れません。しかし、あなたが亡くなったとき、実は大層なことになってしまうのです。
【Dさんの事例 このままだとどうなる】

Dさんが遺言書を残さないまま亡くなりました。内縁の奥さんは当然のごとく、2人で暮らした家にすみ続けられると思っていたのですが。ある日Dさんの弟という人が現われ、「内縁のあなたに相続権はない。この家は私が相続したので、出て行って欲しいと言われたのです。

死亡した夫の親族からの「家屋明け渡し訴訟」を権利の濫用として棄却した判例があります。

【参考:相続Q&A 借家人の夫が死亡した場合

◎内縁の妻のために・・・・・・Dさんが生前に出来たこと

Dさんの内縁の妻には相続権がありません。ですから、Dさんは生前に内縁の妻に財産を遺贈するという遺言をしておくことがひとつの方法です。もうひとつは、Dさんが生きているうちに内縁の妻に財産を贈与しておくことです。(この2つの方法ではかかる税金が、相続税と贈与税と、税金の種類が異なり税率も大きく変わりますので注意が必要です。)

あらかじめ、予定される相続人に内縁の妻に財産を贈ることを伝えて了解を得ておき、そのうえで、遺言書を作っておくのが良いのではないでしょうか。
また、所有不動産は共有持分の登記(共有関係)にしておき、「互いの持分を遺贈する」旨の遺言を作成しておくことも考えられます。

ただし遺贈にせよ、生前贈与にせよ相続人の遺留分を侵すと、内縁の妻は相続人から遺留分減殺請求を受けることがありますので注意が必要です。

遺留分とは遺言書では,法定相続で定められた1/2、1/3といった相続人に対する相続割合を、被相続人の希望する割合に設定を変えることができます。しかし遺言書に「愛人に全財産を分与する」と書いてあったらどうでしょう?とうてい納得いかないのではないでしょうか。
 
そこで、たとえ遺言書に「愛人に全財産を・・・」と書いてあったとしても、遺産のうち相続人が受け取ることの出来る最低分を保障しました。これが遺留分です。

遺留分は相続人により、下記の様に決まっています。

相続パターン
配偶者のみが相続人 法定相続分の半分 (つまり全財産の1/2)
子のみが相続人 法定相続分の半分 (つまり全財産の1/2)
配偶者と子 法定相続の半分(配偶者、子でそれぞれ1/4ずつ)
配偶者と父母または祖父母 法定相続の半分(配偶者1/3、 父母または祖父母1/6)
配偶者と兄弟姉妹 配偶者のみ1/2  兄弟姉妹 なし
父母または祖父母のみ相続人 全財産の1/3
兄弟姉妹のみ相続人 遺留分なし


ここがポイント!
兄弟姉妹には遺留分がない!
上の表からわかるように被相続人の兄弟姉妹には遺留分がありません。

つまりDさんの事例の場合、相続人はDさんの弟でしたので、もしDさんが「内縁の妻に財産を遺贈する」と遺言していた場合、内縁の妻はDさんの財産をすべて引き継ぐことが出来たことになります。つまり遺言があるかないかで、内縁の妻はすべてを失うかすべてを得るか、天地雲泥の結果になります。

 

遺留分減殺請求愛人に全財産を遺贈する」こんな遺言が発見されたとき。
家族や予定された相続人はどうしたらよいのでしょうか。

このような場合には、遺留分減殺請求を行う必要があります。
請求を行う方法としては、遺留分を侵害する贈与・遺贈、相続を受けた受贈者、受遺者もしくは相続人に対して、内容証明郵便などで行います。
 
◎注意しなければいけないのは、遺留分減殺請求には時効があることです。
遺留分減殺請求の権利を持った相続人は、遺留分の侵害を知った日から1年以内に減殺請求しなければ請求は無効になります。また侵害を知らないまま10年を過ぎてしまっても、やはり時効になってしまいます。
◎遺留分の計算・・・・遺留分は一体いくら?
遺留分減殺請求するためには、相続財産の全体を知っておかねばなりません。
計算の方法は、(被相続人が死亡時に有していた財産)に下記を加えます。
   ☆被相続人死亡前1年以内に行われた贈与
   ☆当事者双方が遺留分の侵害を知りつつ、行われた贈与(年数不問)
   ☆相続人に対する一定の贈与財産(特別受益)
   ☆被相続人が遺留分の侵害を知りつつなした不当な対価による売買行為等
◎遺留分減殺に当てる財産の順序
遺留分減殺に当てる財産は、その順序が定められています
まず遺贈から減殺し、それで足りない場合は、最近の贈与から順に昔の贈与へとさかのぼって減殺していきます。(つまり相続開始時点に近いものから減殺)

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相続人がいないとき(相続人不存在)

ここまではDさんに弟がいた場合で考えました。

ではDさんにこの内縁の妻以外に身寄り(子ども、親、兄弟)がいなかった場合、どうなるのでしょうか。
この場合でも内縁の妻は相続人にはなれません。また、このようなときは民法で次のような手続きが定められています。(本当に相続人等がいないか調べる手続きです。)

 
◎手続きの流れ

@財産の法人化
 
A家庭裁判所で相続財産の管理人を選任
 
B相続人捜索の公告(第1回目)
2ヶ月 相続人を捜します。
C相続人捜索の公告(第2回目)
2ヶ月 債務者、受遺者に対して請求を出すように公告する。
D相続人捜索の公告(第3回目 最終)
6ヶ月 公告と同時に債務者、遺言による受遺者に債務等の弁済を行う。
E相続人不存在の確定・・・特別縁故者の申請受ける


3ヶ月 以上の手続きを経ても相続人が見つからなかった場合、特別縁故者(内縁の妻等)の請求(家庭裁判所へ)により遺された財産の一部、あるいは全部を分与することが出来ます
F残った財産は国に
  ここまでの手続きが終わって財産が残っていた場合、分与されなかった相続
財産は国庫に納められます。
 
ということは、遺言書がなかった場合Dさんの内縁の妻は、Eで家庭裁判所へ請求することにより、財産の分与を認められることになります。
上の表からも、遺言書がなかった場合、内縁の妻がいかに経済的にも心理的にも苦しい思いをすることになるかが理解していただけると思います。

≫遺言書についてはこちらをご覧ください。

特別縁故者とは相続人が現れなかった場合、被相続人と特別の縁故があった者に、相続財産の全部、または一部を分与することもあります。これが特別縁故者への相続財産分与の制度です

それでは上の表の特別縁故者には、内縁の妻以外にはどんな人がなれるのでしょうか?(特別縁故者には、財団法人の老人ホームなど法人もなれます)

被相続人と生計を同じくしていた人
内縁の妻(夫)
養子縁組をすませていない事実上の養子
被相続人の療養看護に努めてきた人
長期にわたり介護してきた親戚・知人・看護人・家政婦
その他被相続人と特別の縁故のあった者

                      など

この特別縁故者への相続財産の分与については、特別縁故者からの請求がなければ分与されませんし、分与を行うかどうかは家庭裁判所の判断によります。
特別縁故者からの遺産分与の請求は、相続人捜索公告の期間が満了した後3ヶ月の間に行わなければいけません(上記表参照)
 
注意! 特別縁故者が財産分与を受けるのは、相続人が全くいない場合で、相続財産から債務の返済、受遺者への支払い等を行っても、財産が残っている場合のみです。
遺言を含め相続について相談したいという方はこちら→
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◎上記からも見るように内縁関係の場合、法律上の配偶者としての保護がありません。このため、内縁関係の方の場合、遺言書作成は欠かせないものと言えます。
しかし、様々な事情で婚姻届を提出しない、また出来ないカップル(熟年結婚でみられます) が増えてきた事から、 判例や法律で保護を与える例が増えつつあります。

いくつかあげておきます。
  ・借地借家法上の借家権保護
     他に相続権者がいないこと、居住用であることが要件です。
   
  ・労働基準法に基づく遺族補償の受給権
  
  ・健康保険の被扶養者となること

  ・交通事故の損害賠償請求権 (最高裁H5.4.8)

  ・厚生年金・国民年金における遺族年金の受給
      死亡した内縁の夫の収入で生計を維持していたこと。
      内縁の妻に所得がある場合には、年収130万円未満かつ
      内縁の夫の年収の半分以下であること  
                      等が要件として定着してきています。

      なお、重婚関係になっている(正妻がいる)場合は、
         上記以外に、事実上婚姻関係と同様の事情にあること。
         正妻との婚姻が形骸化し、事実上の離婚状態が固定化して
         いること。などが総合的に考慮されます。
                         (参考:東京地裁H16.3.19)

≫事例 別居中の妻といえど

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